カタログや書籍などの印刷物を発注する際、制作の流れをスムーズに進めるために基本的な用語を知っておくと役立ちます。ここでは、DTP組版やデザインについての基本用語を解説します。
組版に関する用語
組版(くみはん)
ページに文字や画像を配置し、レイアウトするプロセスのことです。具体的には組版ソフト(例:Adobe InDesign)を使い、デザイン指定に沿って文字や画像を読みやすく配置し、ページを仕上げていく作業です。
自動組版
テキストや画像などのコンテンツを自動的に配置し、レイアウトを生成するプロセスを指します。定型テンプレートにおいては、プロセスをソフトウェアやツールによって最大限自動化することで、手動組版に比べ、迅速かつ効率的にレイアウトを作成できます。但し、デザイン性の高い不定型フォーマットには不向きです。
レイアウト
ページ内の文字や画像をどのように配置するかという設計図のようなものです。視覚的に見やすく、かつ効果的に情報を伝えるために重要な作業です。
版面(はんめん)
印刷物の中で、実際に文字や画像が配置される部分を指します。ページ全体ではなく、文字や画像が印刷される範囲です。
本文(ほんぶん)
書籍やカタログのメインとなる文章部分のことです。本文のフォントサイズや行間(行送り)なども組版の重要な要素です。
見出し
文章やコンテンツの構造を示すためのタイトルや小見出しのことです。コンテンツの内容を一目で伝えることで、読者が内容を簡単に把握しやすくします。
キャプション
画像や図、グラフなどに添えられる説明文です。ビジュアルだけでは伝わらない背景情報や文脈を提供し、内容の理解を深める役割です。
ノンブル
ページ番号のことです。通常はページの上部または下部に配置されます。
テンプレート
特定のフォーマットに基づいたレイアウトやデザインの「ひな形」です。テンプレートには、テキストや画像を入れる場所があらかじめ設定されており、効率よくデザインを進めるために利用されます。繰り返し使用するデザインにテンプレートを用いることで、制作時間を短縮できます。
ラフ
デザインの初期段階で作成される簡単な下書きや構想のことで、手書きで描かれる場合も多くあります。制作プロセスでは、デザイン案を具体化する前の簡易なデザイン案のことを指します。
DTP制作に必要なソフトウェア
代表的なソフトウェアとして、Adobe InDesign、Adobe Photoshop、Adobe Illustratorがあります。
InDesignを使って全体のレイアウトやテキスト配置を行い、Photoshopで画像の加工を施し、Illustratorでロゴやイラストを作成するという流れが一般的です。
Adobe InDesign(インデザイン)
InDesignは、主に組版やレイアウトに特化したソフトウェアで、書籍、カタログ、パンフレット、雑誌などのページデザインに最適です。複数ページにわたるプロジェクトやテキスト中心のレイアウトに適しています。
[用途 ]
書籍、カタログ、ポスター、パンフレットなどの多ページの印刷物制作に使います。テキストと画像を組み合わせたレイアウトに最適です。
[主な機能]
・テキストの流し込み(段組みレイアウト)
・グリッドやガイドを使った正確な配置
・画像やテキストのリンク管理
・自動的な目次作成やページ番号の設定
・スタイルを使った一貫性のあるフォーマット管理(段落スタイル・文字スタイル)
Adobe Photoshop(フォトショップ)
画像編集や加工に特化したソフトウェアです。写真の補正や合成、グラフィックデザインの作成などに使われ、印刷物に使う写真や画像の調整に不可欠です。
[用途]
・画像の切り抜きや不要な部分の修正
・合成やフィルターを使ったエフェクト処理
・レイヤー機能を使った複雑な編集
・画像の色補正
・高解像度での画像編集や加工(印刷用として300dpi以上の画像を扱うことが可能)
[主な機能]
カタログやパンフレットに使用する写真の編集、画像の加工 やトーン調整、トリミング、色補正などに使います。
Adobe Illustrator(イラストレーター)
Illustratorは、ベクターグラフィックを扱うソフトウェアで、ロゴやアイコン、イラストなどのデザインに最適です。ベクター形式なので、拡大縮小しても画質が劣化しないのが特徴です。
[用途]
ロゴや図版、イラストの作成に向いており、印刷物の中で使用されるベクターグラフィックの作成や編集に広く使われます。また、名刺やチラシなど、デザインが中心の一枚もののレイアウトにも適しています。
[主な機能 ]
・ベクターベースのデザイン作成(ロゴやアイコンなど)
・パスやアンカーポイントを使った細かい図形の描画 グラデーションやパターンを使った複雑なデザイン
・他のAdobeソフトウェアとの連携(InDesignやPhotoshopとのデータ交換が容易)
フォントに関する用語
フォントの選択や調整は、印刷物やデジタルデザインにおいて大きな役割を果たします。適切なフォントを選ぶことで、メッセージの伝わり方が大きく変わるため、目的に応じて慎重に選びましょう。
書体
文字の形やデザインを特定の形状で表現した文字または文字セットのことです。
フォント
デジタル環境で使用される書体のことを指し、一般的には、同じデザインやサイズを持つ文字のセットを意味します。
明朝体(みんちょうたい)
日本語フォントの一つで、縦線が太く、横線が細いのが特徴です。上品で落ち着いた印象を与えるため、書籍や正式な印刷物でよく使われます。
ゴシック体
日本語フォントの一つで、縦線と横線がほぼ同じ太さで、力強く、現代的な印象を与えます。カタログや広告など、視認性が重要な印刷物に多く使われます。
セリフ(Serif)
欧文フォントにおける「飾り」のことです。文字の端に小さな三角形の装飾(セリフ)が付いているフォントをセリフ体と言います。これにより、文章全体が読みやすく、伝統的でフォーマルな印象を与えます。代表的なセリフフォントはTimes New Romanなどです。
サンセリフ(Sans Serif)
「飾り(セリフ)」がないシンプルなデザインのフォントです。モダンでスタイリッシュな印象を与え、見出しや広告に適しています。代表的なフォントはArialやHelveticaです。
UD書体(ユニバーサルデザイン書体)
一般的な書体と比べて、特に読みやすさやアクセシビリティを重視する場合に適した書体です。視覚的にわかりやすい形状にデザインされており、視覚障害者や高齢者にも配慮されています。
ウェイト
フォントの太さのことです。通常、レギュラー、ボールド、ライトなど、複数のウェイトが用意されています。ウェイトが異なると、同じフォントでも強調したり、控えめにしたりすることができます。
アウトラインフォント
フォントを文字データではなく図形として扱う形式です。アウトライン化することで、相手の環境にフォントがインストールされていなくても文字が正しく表示されます。PDF入稿の際にアウトライン化がよく求められます。