画像ファイルを大量に扱う制作の現場では、PCやサーバー内にある膨大なファイルから必要なファイルがすぐに見つけられないと、作業時間がオーバーして業務の進捗に影響します。無駄な時間を省くには、まず誰が見てもすぐわかるファイル名を付けることです。具体的にどのようなファイル名を付けると効果的なのか、更にファイル名だけに頼らない管理方法とは?について説明します。
ファイル名付けのメリット
一目でファイルの内容が分かる
ファイル名に案件名やバージョン情報が含まれていれば、開く前にどのファイルが何に関連するかすぐに判断できます。特に、チームで共有する大量ファイルを扱う場合は、この一貫性が非常に役立ちます。
検索が簡単
プロジェクト名、日付、バージョンなどの要素を含めておくことで、ファイル検索時にすぐに目的のファイルを見つけやすくなります。たとえば、「2024-03-15」と検索するだけで、特定の日付に作成されたファイルを瞬時に見つけることができます。
誤ったファイルの上書きを防止
バージョン番号や日付が含まれていれば、古いバージョンのファイルを誤って上書きしてしまうリスクを回避できます。また、最終バージョンがどれかを簡単に判断できるため、チーム内での混乱も防げます。
ファイルの進捗管理が容易
ファイル名にバージョンや日付を付けることで、ファイルの進捗が明確にわかります。例えば、現在の最新ファイルか? またクライアントに送る前の「最終版」かどうかもすぐに確認できます。
ファイル名につけるべき要素とは?
案件名
何の仕事のファイルかを明確にするために、作業の案件名を付けます。どの案件のファイルかが一目でわかるように、ファイル名の最初に付けると便利です。
校正回数(バージョン番号)
InDesignやIlutratorなど何度も修正が繰り返されるデザインやドキュメントには、校正回数を管理するためのバージョン番号が必要です。バージョン番号を明確にしておくことで、最新のファイルと過去の修正版を混同せずに管理でき、先祖返りを防止します。
日付
作成日や更新日をファイル名に追加することで、いつそのファイルが作られたか、修正されたかがすぐにわかります。特にチームで作業する場合、日付を付けると進捗状況や最新のバージョンがわかりやすくなります。日付は西暦→月→日の順で記載するのが一般的で、ファイル名でのソートも容易です。
作業者のイニシャルや名前
チームで作業する場合、作業者のイニシャルや名前をファイル名に付けると、誰が作成・更新したかを即座に確認できます。これにより、誤って他人のファイルを上書きしたり、修正の依頼をする際に混乱を防げます。
ファイル名付けのルール作り
ファイル名のルールは、組織全体で統一することが重要です。例えば、以下のようなルールを決めておくと、誰がファイル名をつけても一貫性を保つので、混乱することが少なくなります。
具体例
echo-catalog_v2_2024-09-19_HS.pdf
案件名: echo-catalog
校正回数: v2
日付: 2024年3月15日
担当者: HS(Hanako Suzuki)
バージョン管理の詳細例
v1または 初校
v2または 再校
v3または 三校
ファイル名をつける場合の注意ポイント
空白や特殊文字の使用を避ける
ファイル名に丸数字(①②…)、空白、特殊文字(#、&、@など)を使うと、システムやプログラムによっては文字化けを起こすことがあります。区切り文字には「_(アンダースコア)」や「-(ハイフン)」を使うようにしましょう。
ファイル名は短く簡潔に
ファイル名はできるだけ短くしましょう。案件名が長い場合は、わかりやすく短くルール化して共有します。長すぎるとエラーで開けない、移動できない、削除できない、リネームできないといったファイルが出てきます。何より扱いづらいため、管理が煩雑になります。
フォルダ構造との連携
フォルダ名とファイル名をうまく組み合わせることで、さらに整理しやすくなります。例えば、「案件名(またはシリーズ名など親要素)」をフォルダ名にして、その子要素、バージョン、日付はファイル名に付けるなどの工夫をすると整理が楽になります。
ファイル名だけに頼らない管理方法とは
ファイルにメタデータを持たせる
ファイル名の付け方が統一されていても、膨大にファイルが蓄積されると、ファイル名だけでは検索や管理が困難になる場合があります。
その場合は、ファイル自体に必要な情報を付加する「メタデータ」を活用する方法が有効です。メタデータとは、ファイルに埋め込まれる追加情報のことです。メタデータを活用することで、例えば「このファイルは何のプロジェクトに関連しているのか」「どのクライアント向けか」など、検索やフィルタリングの際に役立つ情報をファイルに付加でき、探す時間を短縮できます。
Adobe Bridgeを使ってXMPメタ情報を付加する
XMP(Extensible Metadata Platform)とは、JPEGやTIFFなどの画像ファイルに、それに関する情報を画像と一緒に保存することができる、Adobeが規格化したメタデータ・フォーマットです。Adobe Bridgeを使うと、XMP形式のメタファイル情報を使って、バージョンの整理、検索、管理が容易に行えます。
画像ファイルへXMPを書き込むには?
1.Adobe Bridgeをを起動し、XMP情報を追加したいJPEGやTIFFなどの画像ファイルを表示します。
2.対象のファイルを選択したら、画面の右側にあるメタデータパネルを確認します。ここにはファイルに既に含まれているメタデータが表示されます。
3.XMP情報を入力します。メタデータパネルの「説明」や「キーワード」などの欄に、プロジェクト名、作成者、クライアント情報、ファイルの説明など、必要な情報を入力すると、Adobe Bridgeが自動的にファイルにXMPメタデータを埋め込みます。
他のアプリケーションとの連携
XMPメタデータは、Photoshop、Illustrator、InDesignなどAdobe製品とシームレスに連携しており、それらのアプリケーションから書き出したPDF内にもその情報が埋め込まれます。
まとめ
効率的なファイル管理の基本は、統一されたルールでファイル名を付けることにあります。案件名、バージョン、日付、担当者名などの要素を組み合わせたファイル名を使用することで、作業効率が向上し、無駄な時間が大幅に削減されます。
・案件名:何のためのファイルかを明確にする。
・バージョン番号:改訂履歴を一目でわかるように管理。
・担当者名:誰がファイルを作成・修正したかを記録し、誤解やトラブルを防ぐ。