QRコードは、紙教材とデジタル教材をつなぐ便利な仕組みとして、教育現場で幅広く活用されています。
また、2030年度からデジタル教科書が正式な教科書となり、QRコードのリンク先コンテンツも検定の対象になったことで、「セキュリティ」や「持続的な運用」が以前にも増して求められます。ここでは、安全にQRコードを作成・活用するための基本的な注意点を解説します。
QRコードを安全に作成・運用するための6つのステップ
無料のQRコード作成サービスに頼らない
インターネット上には無料のQRコード作成サイトが数多く存在します。しかし悪質なサービスもあり、以下のようなリスクが潜んでいます。
- 広告や不正なリンクを挟み込まれる
- URLを第三者が追跡できてしまう
- サービス終了でリンク先が無効化される
- 意図しないリンク先に飛ぶ
これらは、意図するリンクURLを埋め込んでQRコードを作ったつもりでも、実は悪意のある第三者による中継サーバーを介して、他のURLにリダイレクトされたり、リライトされて違うURLに変えられてしまっているのです。その結果、学習者が安全でないサイトにアクセスしてしまうといったことが起こるのです。
教材で使うQRコードは、出版社や教育機関が管理する公式ドメインを使う、また制作は信頼できるツールや制作会社に依頼することをおすすめします。
QRコードのリンク先を必ず確認する
QRコードは印刷してしまうと差し替えができません。印刷前に以下を必ずチェックしましょう。
・QRコードに埋め込んだ意図するURLのページに正しく遷移するか
・遷移したページの内容は正しいか
・埋め込んだURLはhttps
(暗号化通信)で始まっているか
・スマートフォン、タブレット、PCすべてで開けるか
印刷データとレイアウトに注意する
QRコード自体の読み取りやすさも安全性に直結します。また読み取れないコードは、学習の妨げになるため紙面デザインの段階で注意しましょう。
・解像度の低い画像を使わない
・印刷サイズは最低でも 1.5cm × 1.5cm 程度を確保
・背景色とコントラストを明確にする(白地に黒が基本)
・紙面の綴じ目や端(外側)にかからない位置に配置する
長期利用を想定したリンク設計をする
教材や指導資料に載せたQRコードは、一度印刷すると差し替えが困難です。デジタルコンテンツの更新を視野に入れて、リンク先を数年単位で運用できるように設計しておくことが重要です。
・頻繁に変更が必要にならないようなURLを設計する。
・やむを得ないURL変更がある場合は、サーバーでのリライトや飛び先のリダイレクトで対応できるようにしておく。
去年の教材のQRコードをスキャンしたらエラーになったという事態は避けなければなりません。
アクセス解析は必要最小限に
学習者のための教材内容改善のために、QRコードのアクセス数をトラッキングする場合もあると思いますが、教育の現場では個人情報の扱いに特に配慮が必要です。
・個人を特定できる情報は収集しない。
・ユーザーの匿名化処理をする。
・学習者の問題利用の把握など、限定的に保管・管理する。
・プライバシーポリシーに基づいた利用に徹する。
運用の仕組みを整える ― 発行後のチェックと対応策
教科書や教材の発行時に正しくリンク先に飛んだQRコードが、時間が経つとリンク先のページが移動・削除されることがあります。こうしたリンク切れは学習の妨げになります。発行後も、次のような運用を組み込むことが重要です。
- 定期的なリンクチェック
刊行後も年に1回以上、教材に掲載した全QRコードを確認する。 - 刊行サイクルに合わせた点検
新年度や改訂時に必ず全QRコードを再確認する。 - サポートページの設置
リンク切れや変更が発生した場合に備え、公式サイトに教材QRコード専用の「お知らせページ」を用意し、代替リンクや最新情報を提示する。
QRコードのリンク切れチェックは、自動処理が便利
教科書や教材のリンク切れの定期チェックは、QRエビデンサーを使うと便利です。QRコードを自動検証し、リンク先URLとトップ画面を一覧レポートに出力します。リンク先のURLのリンク切れと内容がひと目でチェックできます。詳しい資料はこちらからダウンロードいただけます。

URLの一覧も出力できます。元原稿との自動照合も可能です。

まとめ
QRコードは、教育現場にとって欠かせないツールになりつつあります。今回紹介したポイントを押さえることで、安全性を確保しつつ、教育現場でのデジタル活用をさらに進めることができます。 QRコードを上手に活用して、子どもたちの学びをもっと豊かにしていきましょう。

